研修旅行
学生時代、気になる建物があれば見に行く事が一つの楽しみだったのですが、最近はそんな時間も少なくなっていました。
そんな折、現場の休憩時間にある建物が話題になりました。
その建物は大学の教科書(日本人の建築空間)で知った木造建築。
こんな建物なんで作ったんだろう、どうやって?っと気になりながらも、15年の月日がたっていました。
何気ない会話の中で、再び思い出したこの建物。
大工さんも興味がある様子。
これは行くしかない!
こんなきっかけで研修旅行へ行くことになりました。
その目的地は会津若松。
目指した建物はこれです!
「さざえ堂」
建物の平面は六角形。
内部に螺旋状のスロープがあり、しかも上り道と下り道が違う二重螺旋。
柱、壁、梁、何が垂直で平行なのか分かりません。
大工さんたちも興味深々の様子。
これを作り上げた情熱に刺激を受けております!
続いて向かった場所は
「大内宿」
実はこれも教科書にのっていた場所。
会津若松から南下した街道沿いにある昔の宿場集落です。
まるでタイムスリップしてきたかの様。
数ある日本の街並みの中で、ここまで当時の景観を自然に維持できている事に驚きです!
そして次の場所は
「日光東照宮」
これも同じ教科書にのっています。
絢爛豪華な装飾が施された建物ですが、ケバケバしさを感じません。
シンプルなデザインをしがちな現在の設計を考えさせられます。
装飾する事が長い間愛される、壊したくない、と思えるような建物をつくる事につながるような気がします。
そして最後はここ、
「富岡製糸場」
世界遺産に登録され、訪れる人が急激に増えているようです。
明治から昭和にかけ日本の産業をささえた、木骨レンガ造の建物です。
糸を大量生産するための場所を、シンプルな木架構を連続させ、効率的に大空間を造り出しています。
移動距離998?。
どの建物もその建物にそそがれる人間のエネルギーを強く感じる建物でした。
日頃の自分の活動はまだまだあまい、そんな思いをさせられる建物ばかりでした。
建築に携わる自分にとって、その場所へ行き、その空間を直に感じることが、とても重要である事に改めて気づかされる旅となりました。また、毎日仕事を共にする大工さんたちと、刺激を共有できた事も良かったと思います。
例の教科書には、行けてない建物がまだまだ残っています。
ふとした会話で行く事になった研修旅行。
これからも定期的に続けられればと思っています。