建築賞入賞ならず 4回目

 

 

五月、その通りは優雅に装飾された山車で華やかに色付けられる。

敷地は高岡御車山祭りが行われる通りに面する。城下町の旧市街地に位置し、間口が狭く奥が長い。そんな場所への建て主の要望は、駐車スペースの確保とお客様を迎える茶の空間をもった住まいであった。

近接する両隣との関係、細長い敷地の形状から、後庭、中庭、前庭(通り)をもつ平面計画は自然と出来上がった。また、木造による駐車スペースの確保が困難であったため、コンクリートによる門型構造を採用し、その上に木の軽快な骨組みを載せるイメージも自然であった。

1階部分は通りからつながる駐車場と茶の空間、その上にプライベートな空間、それぞれの場所が庭に面し、光と風を取り入れる構成となった。

外観は軒の高さをできる限り低く抑え、コンクリートと木の素材感を生かし、町並みを形成するひとつの建物として配慮した。

伝統を守る高岡に新たな建物として、町並みに加えてもらえることを切に願う。

 

 

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